【流れ星に願いを】
星を見ていた。あまりに良い夜だったからだ。理由なんてただそれだけで、彗星が見える夜だとは知らなかった。知る必要もなかったのだろう。知っていたところで、掛ける願いごとなんてわたしは持ち合わせていなかった。
あなたはどうだったのだろう。不意に流れたひとすじに目を瞠ったあなたは、どうだったのだろう。何か願いごとがあるのなら、あなたと一緒に祈ってみたかった。叶えたい何かがあるのなら、一緒に追いかけてみたかった。あなたは何も言わず、ただ星を眺めていたけれど、その心のうちは。
……あるいは、それこそがわたしの願いだったのかもしれない。流れ星に願うことなく、だからこそ叶わなかった、わたしのちっぽけの願いだったのかもしれないと、ふと、星空を見上げながら、思う。
4/25/2024, 11:01:24 AM