ゆずき

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【神様が舞い降りてきて、こう言った。】

神社にお参りに行った日の夜。
夢の中に神様が舞い降りてきて、こう言った。

『お主は、ほんに幼い頃から変わらぬのぅ。
成人を迎えた祝いじゃ。これを受け取れ』

懐から紅色の手鏡を取り出し私に手渡す。

『この手鏡を肌身離さず持ち歩け。
お主を悪きモノから守ってくれるだろう。』

神様が去っていき、ふと目覚めるとすでに朝だった。
そういえば貰った手鏡は……
周りを見渡すとスマホの横に
夢に出てきた手鏡が置いてあった。
紅色の手鏡で後ろに桜の花が描かれている。

夢じゃなかったんだ……
この手鏡を肌身離さず持ち歩くんだよね?
とりあえず忘れないうちに鞄に入れとこう。

◆◆◆◆◆◆

こうして、手鏡を持ち歩いて1ヶ月。
特に変わった事も無いまま、日常を過ごしてきて
私も気が緩んでいたのかもしれない。

会社の帰り道にまさかあんな目に遭うなんて
今の私には知る由もなかった。


7/27/2024, 3:36:38 PM