つつも

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【花束】

小銭片手に花屋に経つ少年。
勇気をだして、店内に入り1輪の赤いカーネーションを手に取った。リボンで飾り付けられ、店を飛び出すと、誰にも見られたくない思いで走り出し家に帰る。
夜、母親が帰宅する。仕事から帰って食事の支度をする母に、少年は恥ずかしそうにしながらカーネーションを差し出した。

-……。
目を覚ました俺は自分が寝ていたと気づくまでに少し時間がかかった。ボーッと、先程まで突っ伏していた机を眺める。
懐かしい、子供の頃の記憶を夢みていた。本当はあの時、たくさんの花をプレゼントしたかった。子供の小遣いで買える精一杯の感謝の気持ち。

眠気を覚ますため、俺はふらっと街に出る。
その時、偶然通り掛かった花屋の前で足を止めた。さっきの夢の影響か、俺は店の中に入る。
店を回ると、小ぶりの可愛いブーケを見つけた。それを手に取ると、会計を済ませて店を出ていた。
購入するつもりはなかったが、このブーケを見つけた瞬間何故か夢のことが脳裏に過ぎったのだ。

こんな何でもない日に急に実家に帰って、母さんにプレゼントしたら変に思われるだろうか。
そう思いながら、今は少し離れて暮らす母親の家に足を向けるのだった。

2/10/2024, 9:09:26 AM