霜月 朔(創作)

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ベルの音



静かな冬の夜、
雪の街に響くのは、
冷たい鐘の音。

貴方が眠る部屋の、
暗い窓を見上げれば、
薄暗く揺れる灯りが、
消え入りそうに震えています。

魂が穢れた私には、
貴方の笑顔は、眩し過ぎて。
凍えた手を、伸ばしたとしても、
その希望は、粉雪の様に、
指先で、溶けて消えてしまいます。

貴方の名前を呼んでも、
声は木枯らしにかき消され、
届かない想いだけが、
心の痛みとして、残ります。

遠く響く、哀しみの音が、
胸を締め付け、
心を裂いていきます。
それは救いではなく、
終焉を知らせる、ベルの音。

貴方の微笑みと温もりを、
手に出来たなら、と、
叶わぬ夢を見るだけの夜。

雪が降り続く中。
私は独り、
冬の冷たさに凍えながら、
終焉の響きを、
ただ、待ち続けるのです。


12/21/2024, 7:43:32 AM