8年ほど前まで、物心がついた時にはもう当たり前のように自分の世界に馴染み、これからも変わらずそこに居続けてくれるのだと漠然と思ってた存在があった。
確かに愛されていたのに、その存在らしくもなく踊りが合ってない、歌が下手と評される事がよくあった人達だ。
個人的には好きも嫌いもなく広告で見かけて「居るんだ」と思ったり耳馴染みのある音楽に安堵したりして袖が触れ合う程度の”ファン未満”
しかし大々的な報道は、その程度の自分ですら胸の中に爆竹でも投げ込まれたようで落ち着かない気分に変えてしまった。
またメディアが勝手言ってるだけでしょ?
色んなものを見えないフリしながら半信半疑でその日を迎えた。
画面の中ではスーツを着た5人が沢山の花に囲まれながら最後の歌を唄い、深々とお辞儀をして幕が落ちていく
葬式にも見えるその様は自分にとっての常識が一つ崩壊した瞬間でもあり、心臓がバクバクと脈打ち鬱陶しい程だった。
ドッキリじゃないの?
まだ疑いながら1日、2日と過ごしたが生憎とまだネタバラシはされていない
あの日から今日まで、数多の人達が世に出て歌い踊っている。正直な所彼等よりも歌や踊りが秀でた人達はいるが、彼等ではない。
時々思い出しては、もう一度歌って踊ってるところを見たいなと思う。
そこまで考えた所で代表曲の歌詞が脳裏を掠め思い至り腑に落ちた。
あぁ、彼等の存在もまた唯一無二の花だったのか
『世界に一つだけ』
9/9/2024, 2:47:58 PM