「もう、見れないんだな。あの頃の景色は」
かつては沢山の子供が生活していた孤児院の一室。この孤児院に住んでいた彼らは、歴史に残るようなことを成し得た子らもいる。しかしもう殆どの子供たちが寿命を迎え、次の生を始めているのかもしれない。
⸺いくら自分が長命種とはいえ、150年以上も未練たらたらで孤児院を続けていたのは、友達の一途さを笑えないな…割とガチで。
「おいお前、何そこでぼーっとしてんだ!」
指導役の冒険者に叱られ、仕方なく子供部屋を離れ、他の冒険者たちの元へ向かう。今の俺は新人冒険者。先輩冒険者の足を引っ張らずに一人前だと認めてもらうことが、今の目標だ。
いつまでも過去の声を懐かしんでるだけじゃ、ある友達に指差して笑えないからな。
誰一人いなくなった孤児院の一室は静寂に包まれる。
だがしかし、聴けるものが聞くと……子供たちの楽しげな笑い声に包まれるのだと、近隣の村々で噂されている。
【決して朽ちない、不滅の孤児院】
9/29/2024, 12:42:22 PM