愛情は無いものだと思っていた
私には縁がないものだ、と。
私の親にはなかった
備わっていなかった
ただそれだけの事。
今まで憧れて生きてきたわけでもない
誰かに愛されたいとか、
誰かを愛したいとか
考えたことがなかった。
私とはかけ離れた欲求不満な誰かさんの贅沢品
その程度
見ても、食べても、聴いても、叩かれても、
何も感じなかった
世の中は理不尽だから
不公平だから
平等なんてものはない
何もかもそのせい
そう思い込んでいた
そう受け入れるしかなかった
今はただ
ただ、
目に映る手を引いた親子が
少しだけ
ほんの少しだけ
羨ましくなった
『愛情』
11/27/2023, 1:32:39 PM