夏子

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今から、ず〜っと昔の話

ちょうどお盆の時期に合わせて
とある公園に幽霊屋敷が出来た

社会人になって間もない私たちは
若さもあって、怖いもの見たさに
入場券を手にした…

川のほとりに出来た幽霊屋敷は
簡易過ぎて一度突風が吹けば
吹き飛ばされそうな作りだった

友人と3人で中に入り、暗がりを
奥へ奥へと進んで行った…

今から思えば、簡素な仕掛けは
雰囲気だけで怖さ倍増な訳で
私たちも例外にもれず、「きゃ〜!」
…と、精一杯叫びながら歩いた

出口も近くなり、最後を歩いていた
私は背後に気配を感じて振り返った

「………あなた誰?」
10歳ほどの男の子が私の後ろにいる

あまりにハッキリ見えていたので
怖さとかはなく、後から親御さんが
来るわけでもなく…

不自然と言えば、表情がなく真顔で
とにかくついて来るものだから、友人
たちに思わず聞いた…

「ね〜!この男の子誰?」
振り返った友人たちが言った言葉は…

「何言ってんの?誰もいないよ」

私は思わず言い返した…
「いるじゃん!ついて来てるよ!」

「ぎゃ〜!絶対いない!」
友人2人はいきなり走って逃げた
……いない……見えてない??

私だけに見える少年……「あなたは誰?」

2/20/2025, 4:03:21 AM