僅かに手を伸ばせば、爪先を彩る黄金色
花舞う園で狂い咲く
あなたと結ばれた春に戻れたなら
もう一度だけ、その背に寄り掛かって唄いたい
きっとそのまま眠ってしまうけれど
あなたはそっと微笑みながら
私を抱き上げて、代わりに唄って
たまに外れる不器用な音が好きだった
焦げた頁の片隅に書き殴った夢の跡
忘れたい、忘れたくない
だって、こんなにも私は泣いている
あなたを想って震えている
愛憎に、あるいは悲憤に
あなたに刃を突き立てた運命とやらに
帰りたい、私たちの小さな城へ
下らない小競り合いと和解を重ねる筈だった
どんな馬鹿でも、惨めだろうと、あなたとならやれた
大きなその手に誘われ、導かれたなら
私、きっとやれたのに
転がる荊は少女のままで、棘を振り撒き嘆いている
もう眠りたい、けれど歩かなきゃ
私はまだ流さなければならない
誰の為に、ねえ、どこにいるの
もう顔も声も分からないあなた
なんて無様な末路
私を縛り付けて置いていった
愚か者、大馬鹿者
あなたのせいだから、ずっとずっと許さない
誰も私を信じないで
振り向かないで、愛さないで
光が落ちて土を被って、消えてしまったあの日から
私はもう太陽など見ていない
見上げる空は灰色のまま
陽射しを妨げる、濡れた手で
(木漏れ日)
5/7/2025, 12:12:28 PM