『眠れないほど』
夜中にコンビニへ向かった。亮くんと一緒だ。道は街灯で照らされていて、月も明るい。こんな時間に外に出るのって滅多にない。
「寒くね?」
「寒い!! なんでこんな時間に外でたがるの!!」
亮くんはいひひって悪い笑いをした。怖いなあ。何企んでんだろ。
「どっちにしろ、眠れないだろ、俺たち」
「まあ、朝からお酒飲んで夕方まで寝てたもんね、って、あんたが飲もーって言うからでしょ!!」
ときたま、車が走る。わたしたちは20分かけてコンビニへ行く。車欲しいなあ。びゅって、強い風が吹き、亮くんはくしゃみをした。
広い国道の信号にぶつかった。亮くんが立ち止まるからわたしも立ち止まったけれど、赤じゃない。
「どうしたの?」
「たぶん、もうすぐ」
すると車道の向こうから、とても大きなトラックが走ってきた。うん? 荷物がとても大きい……。
それは、列車だった。電車を運んでいるのだ!!
「すごくね? 友達から聞いたんだよ」
鉄の長い胴が目の前を過ぎっていく。
「うわっ。おもしろ……」
「よし、思い出一つゲットな!!」
私たちは写真を撮りまくった。スマホが何度も光る。
亮くんは、思い出にこだわった。二人で大事なものを共有したいっていつも言う。
うん……、ありがと。
そして、コンビニでおでんを買って帰った。寒かったけど、あったかだった。もっと、眠れないほどになっていた。
12/5/2024, 4:49:03 PM