Machi

Open App

キラキラと輝く街をふっと見てから、手元に目を戻す。
終わらない残業。数え忘れた何連勤。申請しても通らない有給。押し付けられる仕事の量に比例しない給料。
ぼーっとそんな事を考えながら、キーボードをカタカタと叩く。
今日も泊まり込みか。晩御飯食べたっけ。カップ麺食った気が…あれは昼か。朝も食わずだったなー。
不健康で、両親に心配されるような生活。
うるさい上司、使えない部下、鬱陶しいクレーム、扱い切れない新卒、圧力をかけてくる上層部。
そいつらに囲まれて、何の意味があるんだろうななんて思いながら今日も俺は仕事を進める。
サラリーマンが社会の歯車なんて嘘だ。実際は会社の肥やしでしかない。
それでも俺は働いて、「何かの歯車」になれるよう勤めている。
ずっと、「何者か」になりたかった。
学生時代からずっと、無意識的にそう思っていた。それを最近自覚した。俺は「何か」になりたいんだと。
人の役に立つ、一人で立っていられる、俺一人で多くを成し遂げられるような「何か」に。
そんな日が来ないことはわかっている。俺一人で成し遂げられたことなんて今まで一度もなかった。人に甘えてばかりで、大して人の役にも立ってこなかった。
それでも俺は、この世界で、この街で生きていく。
「何者か」になるために。

6/12/2024, 6:23:22 AM