美佐野

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(二次創作)(ルール)

 毎日顔を合わせて会話をする。出来ればプレゼントを贈る。好きな物なら効果が高く、嫌いな物だと下がるので注意。相手を選べるタイプの行事があれば積極的に選び、時々起きるイベントで相手が喜びそうな選択をする。そうすれば、たとえ本人が本当は別の人を好きであっても、もれなく牧場主に恋をする。
「このルール、何かつまらないわよね」
 牧場主クレアは淡々と呟く。相対するのは泉の女神さまで、本来人間には姿はおろか声すら聞こえないはずの存在である。だが、クレアはいわゆる主人公であるため、彼女と会話をすることができる。
「でも、何度も会って、それなりにお喋りをして、イベントごとではその人を選び、ましてプレゼントをくれるのよ?意識しないでって言う方が無理じゃない?」
 女神はころころと笑っている。クレアはそんな彼女を真正面からにらみつける。
「そうじゃなくて!嫌いになる方法が、その人が嫌がるものをプレゼントするしかないのが単純でつまらないの。前は牧場の敷地の外にアイテムを捨てるとか、黄金の資材を畑に挿すとかいろいろあったのに」
「前って何の話?」
「女神さまの髪形がくるくるお団子三つ編み野郎だったときの話」
 クレアは空を見上げる。この街に、クレアが夢中になるような相手はいない。だが、子供は欲しいし花嫁にはなりたいから、きっと誰かを選ぶことだろう。そして選ばれた誰かは、クレアの配偶者になる以外のゴールがない。誰もクレアにプロポーズ出来ない代わりに、誰もクレアのプロポーズを断れない。
 クールなように見えて情熱家のドクター、苦労人だが優しいリック、別の意味で苦労人だが面倒見のいいクリフ、真面目にコツコツ修行中の勤勉なグレイ、陽気で頼りがいのあるカイ、何でもできそうでいて庇護欲をかきたてるブランドン。みんなみんな、クレアからは逃れられない。
「あー、もう、タイクツ」
 そう呟き頬を膨らませる彼女は、確かにこの世界の主人公であった。

4/25/2024, 9:18:36 AM