無季

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  一匙のティースプーンにのった
  お砂糖ほどの小さな幸せ

  瞬く間に紅茶に溶けてしまって、
  取り出すことはできなくなる

  あっという間に過ぎ去ってしまうけれど
  どうしても名残惜しくて
  ずっとマドラーでぐるぐる掻き回してしまうの

  ほんの僅かな幸せのひとときを忘れられないまま
  ソーサーを持ち上げる

  カップの水面に映る淋しげな自分を口に含んで、
  幸せをまたひとつ、飲み込んでしまったの
  
  

    

1/5/2025, 8:18:04 AM