「助手くん! 助手く〜ん!」
「なんですか、知性と美貌を兼ね備えた女神のような博士」
「えっなにそのほめごろし。怖いんだけど……。
や、そうじゃなくて。助手くん聞いてくれ。ついにタイムマシーンが完成したんだ!!」
「……おめでとうございます。
っても半分くらい僕が手伝いましたけどね」
「そこはまあそれとして。
私はこれからさっそく、過去に戻ってこようと思う」
「……いつの時代に戻るんですか?」
「私が女子中学生だった頃だよ」
「戻ってどうするんです?」
「……私が中学時代にいじめられてたことは話したよね。その頃に戻って、私をいじめた奴らを返り討ちにしてやるのさ」
「ああ、その目的を果たすために、博士は研究者になったんでしたっけ」
「そうだとも。やっと長年の夢が叶えられそうで嬉しいよ」
「では博士、目的を達成した後は、どうするんですか?」
「えっ」
「そのあとの博士の人生、研究の道に進む必要がなくなりますよね?」
「……それはまあ、そうだね」
「この研究所にも、入らない」
「……かも」
「僕とも会うことはありませんね」
「……」
「さみしいです、僕」
「…………。
……とりあえず、今日はやめとこっかな、疲れたし」
「コーヒーでもいれてきましょうか?」
「うん、よろしく頼むよ」
◇
「……あっぶねー、僕が手伝ったところの設計図の計算式、間違ってたのさっき見つけててよかった……。起動したらどうなるか……。
めちゃくちゃ言いづらくてごまかしたけど、やっぱ言わないとだめだよなぁ……」
『タイムマシーン』
1/22/2024, 2:02:51 PM