星ノ燈

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突然の通り雨で濡れてしまった。
いけない、どこかで雨宿りしなくちゃ。
とりあえず近場のコンビニへ駆け込み、体を拭くタオルとビニール傘を手に取ってレジに向かった。

ああ、雨なんてひとつもいいことがない。
こんな風な天気でいい気分の人なんてごく少数派だろうな…。

コンビニを出ると、隣のクラスの子を見かけた。
部活も一緒だし、男子にはすごく可愛いって評判の子だけど、あまり話したことは無いし、みんなその子を変わってるって言うから、話しかけづらくもある。

その子は傘をささずに濡れながら歩いていた。その表情に陰りを感じたので、少し迷って、そっと話しかけてみた。

「ねえ、私の傘入る?」
「いいよ、私雨が好きだから。」

確かに変わってるって思う。でも、それ以上に、雨はこの子を飾り立てているようにすら思えてくる。確かにこの子には雨が似合う。

「そうだ、駅まで一緒に行こうよ」
この雨で、この子は磨かれているんだろう。それにこの子は悪い子に見えない。
「いいよ、行こ」
雨の日の出会いに、かけてみるのもたまにはいいかもしれない。

9/28/2024, 1:58:09 AM