NoName

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「これからも、ずっと・・・」


  その後の言葉が、ザーザーとノイズのように聞こえ、かき消されてしまった。

 あぁ、まただ。また、同じ夢だ。

 夢から醒めると、そこには天井がある。うん。当たり前だ。

 当たり前で、見馴れた俺の部屋だ。

 覚醒していく意識の中で、ここが自分の部屋だと認識した。 
 
 この夢に出てくる女性は、髪が長く整った顔をした人だった。

 もちろん、そんな知り合いはいない。

 そんなきれいな人が知り合いにいれば、間違いなく覚えている。 

 では、この女性は誰なんだ? 

 まぁ、初戦は夢なので大した意味はないのだろうけど…。 

 その1年後、俺の兄が結婚相手を連れてきた。

 ちなみに俺は、高校生2年生だ。

 おわかりいただけただろうか?

 そう、その女性は夢の中の女性だった。

 つまり、夢の中で俺は兄の目線で結婚相手を見ていたのだ。 

 それを知った時、壊れたラジオのように何度も何度もその言葉が再生された。
 
「これからのずっと一緒にいようね。ゆうちゃん!」

 今度は最後まで聞き取れた。

 …兄さんのこと、ゆうちゃんって呼ぶんだな。

 ぼんやりと、どうでもいいことが思い浮かんだことを今でも鮮明に覚えている。

 
 

 

 
 
 

4/8/2024, 2:41:15 PM