マハーシュリーの夏巳

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【お題:別れ際に】

29日は中秋の名月
夜空を見上げる人も
きっと多いだろう

月に神秘を感じるのは
世界共通だろうが

日本では 月に
うさぎがいて餅をついたり
美女が帰っていったりと
なかなか楽しい

竹取物語の魅力は
かぐや姫を取り巻く人たちの
人間臭さにも、あると思う

欲望、ズルさ、浅ましさ
が描かれるが

それらを含め
人間らしさを 否定したくないな、
と 思わされるのも
面白いところだろう

かぐや姫が 月への帰り際
不死の薬を残していくが

帝は 彼女がいない今、
不死に 何の意味があるのか
と、それを焼いてしまう

権力者にとっての
不死の薬とは
喉から手が出るほど
欲しいものだろうと思うが
この帝にとっては
そうではないのだ

当時は 帝の地位や
それに準じる立場を手にいれようと
人間の欲望が渦巻いたことと思うが

その頂点にたっている帝本人は
ここで 永遠の地位、生命を選ばない

かぐや姫の帰ってしまった月に
少しでも近い場所を、と望み
日本一 高い山で
欲望の象徴、不死の薬を
焼かせるのだ

上流社会に渦巻く欲望に
作者が皮肉をこめ
物語の中では 権力のトップに
そう行動させたのかもしれないが

かぐや姫が別れ際にとった
行動や言動も相まって

今は金持ちとなった育ての親含め
本当に大切な存在に
出会えた人にとって

地位や金や名誉などは
大事な人の存在に比べれば
取るに足らないものだろうと
心から思わされる

金や地位よりも
その人こそを選んでしまう

それもまた、人間臭さ
人間らしさなのではないか

9/28/2023, 11:15:21 PM