書く習慣:本日のお題「流れ星に願いを」
「流れ星に願いを」で思いつく好きなジャンルが二つある。
一つはディズニー、もう一つは中村颯希の『ふつつかな悪女ではございますが』だ。ジャンルは中華後宮ファンタジーで、ざっくり言うと「悪女と入れ替わったヒロインが頑張るお話」である。物語が始まるのが「彗星と流星群が重なった乞巧節(七夕)の夜」で、非常にロマンチックなのだ。
「中華モノって人名が難しい漢字だからキャラが把握できなくて苦手」という人にこそ、『ふつつかな悪女』をお薦めしたい。私がまさにその「キャラの名前が読めなくて挫折人間」だったからだ。
オタクは人生のどこかで五行思想を履修していることと思う。『ふつつかな悪女』のキャラクターのほぼ全員、この五行思想に関係する名前だから非常にイメージしやすい。五行思想というのは、中国の「火、水、木、金、土」のやつだ。「水は火に強く、火は金に強く、金は木に強く、木は土に強く、土は水に強い」と聞けば、わかる人もいるかもしれない。
もちろん、五行思想を知らなかった人でも『ふつつかな悪女』を楽しめる。読み進めるうちに自然と相関が頭に入っていく構成になっているからだ。たとえば五行思想の木、青、春、東に関係するキャラクターの名字が「藍」で領地は「東領」だし、名前に「春」や「林」が入っている。そして本文でも「木を司り」と属性についても書いてある。
基本的には五行思想がわからなくても問題ない物語だし、五行の相関が関係してくる場面になったら、キャラクターや地の文で「水は火より強い」みたいに説明が入る。万が一わからなくなっても、本の最初のほうに相関図がついているので、とても親切だ。
『ふつつかな悪女』のすごいところは、世界観や設定の説明が非常に丁寧で親しみやすいうえに、話の展開が読者の想定の斜め上をいくところだ。私は本当になんにも考えずにさらっと読んでしまうタイプなので、伏線があっても全く気づかない。「ここが伏線かな?」と推測しながら読み進めたらそれはそれで楽しそうなので、一旦『ふつつかな悪女』に関する記憶を全て消して最初から読み直したいなあと思っている。
あと、漢字や花言葉に詳しい人にも『ふつつかな悪女』がおすすめだ。キャラクターの名前の漢字や作中に出てくる花にも考察しがいがある、らしい。今のうちから色々調べてリアルタイムで「へー!」をやりたい気持ちと、完結してから最後のセルフ伏線回収としてお楽しみを取っておきたい気持ちがあり、12巻まで出ている今もまだ考察についての方向性が決まっていない。
というか、『ふつつかな悪女』はだいたい半年に一冊ペースで新刊が出ていて、中村颯希先生の筆の速さにも驚く。
私が自分で「書く習慣」で文章を書くようになって50日くらい経つが、ちょこまか書いてようやく5万字といったところだ。しかも私が書けているのは、お題が決まっていて、好きな文字数で気楽に書き散らかせるからである。
作家の仕事について詳しくは知らないが、文字数と「面白さ」という縛りだけがあり、世界観やキャラクターを全くのゼロから作り上げなくてはいけないということはわかる。作家さんの創造力と思考体力にはただただ圧倒される。面白いものを書かないと仕事がボツになるプレッシャーは計り知れない。ルーチンワークの仕事をしている身で想像してみると、私ではその重圧に耐えられないと思う。
どんな仕事にも設定された目標があるが、クリエイティブな仕事は特に難しいと感じる。医療関係や教育関係などの「ミスったら命の危機」「間違えたら人の人生を狂わせるかも」という責任の重さも自分には背負えないが、クリエイティブ職もまた方向の違う「脳みその中身を開陳」「魂を削る」高難易度ジョブだと思う。
『ふつつかな悪女』は3月末に最新刊が出たばかりなので、ここからまた半年くらい続きを待つ身である。
今までは「ここで話を終わらせる作者が一番悪女!!」と感想を叫んでいたが、書く苦労の片鱗をほんの一嘗めした今は「どうか何とぞ完結までお健やかにお過ごしくださいませ」という気持ちである。
『ふつつかな悪女ではございますが』は、今年2026年7月からアニメが始まる。小説もコミックもまったく見ない状態でアニメから入れる人が羨ましいので、やっぱり私は一度記憶を消したい。
4/26/2026, 2:20:43 AM