『ジャングルジム』
幼い頃好きだった遊具にグローブジャングルという球状のジャングルジムが存在する。外側に取り付いて親にゆっくりと回してもらったり、中に入って中心にある台座を回し、セルフで高速回転させたりするのがとても楽しかった。そんなに頻繁に遊園地に行けるわけではなかった子ども時代の私にとって、コーヒーカップの代わりとして疑似的に遊園地のアトラクションを体験できる遊具として頻繁に遊んでいた。
そんなグローブジャングルだが、現在ではほとんどその姿を消してしまった。老朽化してしまったという側面もあるだろうが、やはり一番大きいのは安全面だろう。回転している状態の時に触れば、子どもは弾き飛ばされてしまうことはわかりきっていたし、回転中に掴まっていられなくなってしまったら、遠心力によって吹っ飛ばされてしまうこともあるだろう。そんな理由があって撤去されてしまうというのはよく分かる。だが、やはり幼いころの思い出がなくなってしまうような感じがして寂しさを覚えたことも否定できない。もう一つの消えてしまった遊具である遊動木とともに、いつかまた巡り合いたいものである。
『形のないもの』
どれだけ大切なものであっても、形がある限りはいつか壊れてしまう。使い続けて耐久力がなくなってしまったり、不注意で落としてしまったりと原因は様々であっても壊れてしまったという事実は変わらない。「物ならまた買えばいいじゃないか。」という人もいるだろう。もちろん、それも一つの考え方だ。ただ、似たものは手に入っても100%同じものは手に入らない。商品名としては同じでも、使い続けていくうちについたわずかな汚れや傷は存在しない。むしろ同じ商品であるからこそ感じる違和感もあるはずだ。それにサイン入りであったり、限定生産品だったりと同じ物を手に入れることすらほぼ不可能なものも存在する。
だからこそ私は一つ一つのことを忘れないように記憶に刻み込む。形のないもの、思い出ならば私自身が忘れてしまわない限り、いつまでも変わらないものとして残り続けてくれるからだ。スペースも取らないし、いつどんな場面でも触れることができるというメリットまで存在する。だから私は今日もどこかへ足を運ぶ。思い出を作るために。
9/24/2024, 2:31:26 PM