XXXX年X月10日
再び鐘の音を聞いた。警察署からの帰還途中のことだ。背後から聞こえた音に振り返ったものの、行きがけに比べ霧は濃くなっており時計塔の影は見えなかった。
自動で鳴動するよう設定されているにしては頻度は疎らで前回と時刻も異なる。正体は機械の劣化か、はたまた誰かが手動で鳴らしているか。……ここが無人の廃都と分かっているのに、後者のようにしか思えないのは第六感というものなのだろうか。
後ろ髪を引かれつつも資料の持ち帰りが最優先だと自制し拠点へ戻ってきたが、これを書いている最中もどうにもあの鐘の音が気になって仕方がない。
近く一度、時計塔を探索してみようと思う。
病院や警察署と違い資料は乏しいだろう。無駄足になるかもしれないが……上手くいかなくたっていい。
一度この目で確かめてみるべきだ。
8/10/2024, 7:13:25 AM