海は空の色と溶け合っている。月が水面を照らし道を作り、道の果ては水平線だ。湿気を孕んだ空気は磯の香りを漂わせながらまとわりつく。明るさとともに賑わいを見せる砂浜も、夜半を過ぎれば熱気を失い波音が響くのみ。
欠けた月は少し頼りなく、星彩あれども拭えない寂寥感。まるで世界にひとり取り残されたかのよう。
波打ち際まで行けば波は誘うかのように足元を濡らす。波と水音の誘うままに月の道の先へ行こうものならいよいよ世界でひとりきり。
果てなき孤独を闇に溶かして、月光に希望を見出して、またたく星を心に留めて。
短夜の中、未だ訪れぬ夜明けを待つ。
8/16/2024, 1:36:43 AM