粉末

Open App

「よしよし。よくがんばったね。」

鈴蘭のように白く可憐な指先が慈しむ器には
たしかに命があった。
自分が眠っている間に空へ飛び立ったようだ。

長く厳しい旅を終えたその瞳は見えないが、
あたたかでやさしい大樹の様なこの人の手に包まれ
きっと安らかなのだろう。

いつか俺が死ぬ時は
鳥になってこの人のぬくもりに包まれていきたい。
死に場所も選ばせてくれないであろうこの魂にも
安らかな最期を用意してくれ。

なあ神様。お願いだから。



安らかな瞳

3/14/2024, 10:48:10 AM