Open App

社会人ともなると日々の消化に明け暮れて、物理的に離れていた学生の時の方が繋がっていたように思えて仕方がない。
忙しいのはお互い様。
便りがないのが良い便りなんて、そんなことを言えるほどまだ大人ですらない。
既読すらもすぐには付かない日も付けられない日もあって、早めに社会に呑まれていったあの人はいかに時間を作ってくれていたのかを改めて知る。
なんの取り留めもない部活での1コマ。
お昼に食べたメニューやカフェの写真。
今となってはなんであんなにも躍起になって送ったか分からないスタンプの応酬。

《起きてる?》
《電話していい?》
《今度の金曜日の夜、行くから》

《会いたい》

ともに過ごした日々を指ひとつでこんなにもすぐに振り返られるのに。
この細い細い繋がりですら、すぐに消えてしまう。
未来どころか『1年後』だって想像出来ないくらいに臆病になってしまった。
寂しいよー、と泣く猫のスタンプはあの人が送ってきたもの。
そうだ、僕も。

「……さびしい」

口してしまって、後悔。
恥も外聞もなく、ただ。
会いたいと素直に言えたなら。
そして、同じく想ってくれたなら。
ただ、それだけで。
きっと1年後も。

6/24/2024, 2:11:56 PM