ストック1

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うおおお、すごい
俺は今、とんでもない光景を見てるぞ
そこに山があるから、血が騒いで登山していたら……
色とりどりのドラゴンが集会開いてるよ
普通に喋ってるし、きっと伝説級のドラゴンたちだ
それぞれの属性を司る頂点のドラゴンたちなんじゃないか?
俺の存在がバレたらどうなるんだろう
やはり消される?
それとも取るに足らないと見逃されるのかなぁ
どっちにしろ出ていかないほうが身のためだろう
というか、とっとと立ち去ったほうが良さそうだ
……でも、伝説級の存在がどんな話をしているのか……気になる!
こんなチャンスなかなか無いぞ
ちょっと聞いてみるか

「アルマネウル地方はどうだった?」

「ダメだな
質の高いものがあるにはあるが……我らには小さすぎる」

赤いドラゴンが聞き、黄色いドラゴンが答える
なんの話だ?

「もっと大きいのはないのかしら?」

白いドラゴンはため息をつきながら、とても残念そうだ
青いドラゴンも残念そうにしながら

「大きい場合、たいてい人間に管理されてるからね
そもそも、大きいのは人間製のものが大半だ
天然となると……難しいよ」

と言って首を振る
ドラゴンが欲するような、人間の管理する大きいものなんてあっただろうか?
それも人間製とか、天然とか言えるものに

「あんたはいいよな、人化できて
堪能し放題じゃねえか
俺たちはこの姿しかないってのに」

黒いドラゴンが不満そうに緑のドラゴンへとつっかかる
人化できるドラゴンなんているのか?
どこかで気づかずに会ったことがあったりしてな

「八つ当たりしないでください
私は自分の能力を活用してるだけです
羨ましいならあなたも習得すればいいでしょう」

「できねえの知ってるくせによお」

全然わからない
ドラゴンにとって小さいとダメで、大きいと人間に管理されてる
そして、大きいのは人間製のものが多く、天然はたいてい小さい、と
で、人化できるとドラゴンでも楽しめるのか
答えが気になる
もう少し聞いてみよう

「僕たちは経験ないからわからないけど、そんなに気分が良くなるのか?」

赤いドラゴンが緑のドラゴンへ聞く

「そうですね
日々の疲れが吹っ飛びますよ
一度は皆さんに入ってほしいです
場所によって効能も違いますし」

ん?
疲れが吹っ飛んで、場所によって効能が……
もしかしてそれって

「どこかにあるといいのだけどね
大きい天然温泉」

白いドラゴンが俺の疑問の答えを口にした
やっぱりそうか
このドラゴンたちは、温泉に入りたがっているんだ
たしかに、あの巨体で入れる場所なんてそうそうないな
探すのも大変だろう
だが、俺は知っている
ドラゴンも入れる広さと深さの、天然の秘湯を
どうする?
教えてあげるか?
でも滅茶苦茶怖いな
いやしかし、あんなに入りたがっているのに、俺には無視することはできない!

「あ、あの!」

「うおっ、驚いたな
人に見られていたのか」

黄色いドラゴンが体をビクッとさせた
ドラゴンでもそういう反応するんだ
親近感を覚える

「大きい天然温泉を探しているなら、いいところがありますよ」

「本当かい!?
ぜひ教えてくれ!」

青いドラゴンが巨大な顔を近づける
怖い怖い怖い!
しかし、ひるむな
相手は好意的だ

「ロッカウロ地方のパンターロ山にほとんど知られていない天然温泉があるんですよ
あそこ、人が入ったら溺れるくらいなので、皆さんにはちょうどいいかと」

ドラゴンたちは歓喜して盛り上がった
喜んでもらえてよかった
どうやら、大きくても浅いだろうから、足湯程度を想定していたらしい
そこに、つかれるほどの深さの温泉の情報が来たので、ハイテンションになったそうな

「人よ、あなたのおかげで仲間と温泉を楽しめます
この恩は必ず返します
明日、またここで会いましょう」

緑のドラゴンが俺に感謝と恩返しの約束をしてくれた
その後、ドラゴンたちはすぐにパンターロ山の温泉へ向かうため、飛び立った
行動が早いな

……翌日、同じ場所へ行くと、緑の髪の女性が佇んでいた
たぶん、緑のドラゴンが人化したのだ

「本当なら、全員で来られればよかったんですけどね、みんな忙しくて
私だけですいません」

「いえいえ、大したことはしてませんから」

「あのあと、みんなと温泉を楽しめました
ありがとうございます
こちら、お礼の品です」

渡されたのは、虹色に輝く果実だった
これって……

「ええ、食べれば一生病に苦しむことはなくなる、アレです」

「こんな貴重なもの、もらってしまっていいんですか?
そこまでのことをしたとは思えませんが」

「いいんです
貴重ではありますけど、そもそも病気知らずの私たちドラゴンにとっては、必要ないものですしね
それだけ楽しかったということで」

まあ、断るのも失礼か
俺は遠慮なくいただくことにした

さて、俺はその後、果実を食べて病気知らずの体になったのだが、それだけでなく、不老長寿にもなったようだと、知り合いの魔法使いから告げられた
体を流れるマナがそういう状態らしい
ならば、俺が長寿を利用してできることとはなにか?
俺はあの一件以来ドラゴンへの興味が強くなった
ならばドラゴンのため、人化の術を研究しよう
風のうわさで、緑のドラゴン以外も人化して人間界へ遊びに行きたいと願っていると聞いた
そして、俺は人化は知能の高いドラゴンならば全員できるのではないか、と研究を続ける中で確信
ついに方法を確立できそうな段階まで来た
あとは実践あるのみ
さあ、久々に彼らに会いに行こう
また、歓喜してくれるだろうか

1/8/2026, 12:40:51 PM