窓越しに見えるのはいつも君だった。団地が向かい側の喋ったこともない君。でも僕は彼女の黒く長い髪に真っ白な肌。そしてどこか悲しそうな瞳。そんな君を毎日眺めていた。そしていつからか、彼女の姿が見えなくなった。そして代わりに窓越しに見えるのは綺麗な、彼女のような真っ白の百合が飾られていた。近所のおばさん達の話を聞くと、彼女は難病を患っていて3日前に亡くなったそうだ。その時、僕の窓越しから見える小さな恋は散った。
7/1/2024, 11:41:16 AM