『日陰』
帰ろうとすると教室の中心よりやや窓寄りに
人が集まっているのが見えた。
またアイツが中心になっているんだろう。
足を止めることなく教室のドアを閉めて校門まで歩く。
門を過ぎたあたりで後ろから声をかけられる。
「おーい。待ってくれよ。」
「待ってって言われたってお前はみんながいるから
別にいいだろ。」
「幼馴染だろ〜。もっと仲良くしようぜ〜。」
こんな風にヘラヘラしながら
接してくるコイツには正直イライラする。
いつも陽気でいれて、クラスもみんなに好かれる。
それでいて地味で影の薄い俺に声をかけてくる。
住む世界が違う。と言えばいいんだろうか。
昔はもっと離れても磁石のようにくっついてくる奴だった。
それがわかっていこう離れるのは諦めて
自分勝手にしようと決めた。
「なぁなぁ〜、コンビニ寄ろうよ〜。お菓子奢るからさ〜。」
陽気で人気者なコイツに奢ってもらうのだけは気分がいい。
後で罪悪感が湧いてくると思うけど、
それは後の自分に任せよう。
日陰者は日陰者らしく、陰気臭い生き方を。
語り部シルヴァ
1/29/2025, 10:27:33 AM