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私は今日、彼に告白する。朝ラブレターを彼の靴箱に入れて教室で今か今かと待っていた。彼は委員会に入っているため、おそらくもう少ししたら来るだろう。心臓が張り裂けそうになりながらも何とか落ち着く。きっと、
大丈夫だ。どんな結末になったとしてもこの想いを伝えられるだけでも十分なことだ。それに──
「えーっ! ラブレター渡したの?」
「うん。」
「そっかー。あんたもついに勇気を出したって事ね」
「でも、振られちゃうかも」
「頑張れ! もし駄目でも私達は応援して見守ってる
からね」
そう、私には応援してくれる友人たちがいる。だから
ここで逃げるわけには行かないのだ。
その時、ガラッと扉を開ける音がして彼がやって来た。私の緊張がピークに達する。
「ごめんね、待たせちゃって」
「ううん、いいの。私のほうこそわざわざ来てくれてありがとう。」
「それで、話って何かな?」
さあ、遂にやってきたこの瞬間。落ち着け、私。何度もシュミレーションしてきたじゃない。ゆっくり深呼吸しながら言葉を紡いだ。
「あ、あのね、私、実はあなたの事が──、あなたの事が好きなんです! 付き合ってくれませんか!」
私、言えた。言えたよ、皆。前を向く。彼の表情は
夕日が差し込んでいるせいでよく見えない。断られて
しまうだろうか。そんな不安が頭をよぎる。彼が口を
開いて言った。
「俺は─────」

その後、彼が彼女にどんな返事をしたのかは想像にお任せする。

『恋物語』

5/18/2023, 12:40:22 PM