「突然の君の訪問。」
???にて──────────────────────
画面の前のみなさん!!!おはよう!!!
時刻は朝5時!!!まだ薄暗いね!!!
今日はニンゲンくんに会いにきたのさ!!!
ん???囚われているはずのボクがどうやってここまで来たんだ……って顔をしているね!!!
それはね……あれをああやってこうしたんだよ!!!
前もってうまいことそれを用意しておいたからよかったのさ!!!
おや、そろそろニンゲンくんの家が近くなってきた!!!
ニンゲンくん、どんな反応するんだろうねー?!!
かわいいボクに再会出来るんだから、大喜びに違いないね!!!
「突然の君の訪問。自分は喜ばないはずもなく───。」
とか?!!そんな感じで?!!
ハッハッハ!!!そんなに嬉しいのかい?!!
会うの3日振りとかだけど!!!
本当に?!!キミもかわいいなあ!!!
……もう扉の目の前まで来ちゃったよ!
正直に言えばデッカい音を立ててお家に入りたい所だが、近所迷惑だと思われると困るからこっそり入るよ!!!
ガシャーン!!!おはよう!!!元気かい?!!
……静まり返っているね。まるでボクがデッカい音を出さなかったかのように。
見慣れた玄関だが、いつもと何か違う。
……埃が溜まっていて、なんだか散らかっている。
どうしたのかな。
……にしても、ニンゲンくん、起きてこないなぁ。
起きて来ないんだったら……寝室に突撃だね!!!
「おりゃー!!!ニンゲンくん!!!おはよー!!!」
寝ぼけ眼でボクを見つめるキミ。この部屋も前より散らかっている。足の踏み場が……。
「んー?どうしたんだい???ボクに見惚れてしまったのかい?!!」
キミはボクを見つめ続ける。
「ねえ!!!ちょっと!!!いい加減返事をしたらどうなんだい?!!流石にここまで無反応だと心配になるからね?!!」
「……ぁ、本物?夢かと思った……。」
「夢みたいな時間だなんて!!!いつからそんなポエミーな褒め方ができるようになったんだい?!!」
「もしくはたちの悪い幻覚か。」
「こら!!!ボクは!!!ここに!!!ちゃんと!!!存在しているんだぞ!!!」
「そうか……。だったら。」
「だったら?!!」
「寝かせてくれ。朝5時だぞ?」
「それは!!!そうだね!!!」
「それじゃあまた!!!おやすみ!!!」
「……ってねえ!!!反応それだけ?!!」
……寝息を立て始めてしまったよ。
参ったなぁ……。でもせっかく来たから……あ、そうだ!
ボクはニンゲンくんの家を掃除することにした。
積もった埃、シンクに溜まったお皿、ぐちゃくちゃの洗濯物。
手入れの行き届かない空間がそこにはあった。
……随分と荒れた生活だね。
ゴミ出しだけちゃんと出来ているからマシなのかな。
やっぱりキミが心配だよ。
……まあボクの手に掛かればこんなお部屋も!
あっという間に綺麗になっちゃう!!
さすがボクだね!!!
ついでに朝ごはんも準備しておくか!!!
キミのお気に入りだったハムエッグのサンドイッチと。
それからサラダを作ろう!
冷蔵庫に野菜があるから、なんとか買い物もしているようだね。
ニンゲンくんは、おそらくギリギリの状態で暮らしている。
ますます心配だ。
これを食べて、少しは元気になってね?
あと少しだけ、おやすみ。
ボクは静かにその家を後にした。
「前回までのあらすじ」────────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!
そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!
それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。
もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。
どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。
そうそう、整備士くんや捜査官くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かったよ。
712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くした彼は、ただただ泣いていた。ずっと寂しかったよね。今まで助けられなくて、本当にすまなかった。
事情聴取は無事に済んだ!その上、ボクのスペアがきょうだいを苦しめた連中を根こそぎ捕まえてくれたからそれはそれは気分がいい!
だが、実際に罪を犯した以上、きょうだいは裁判の時まで拘留されなければならない!なぜかボクも一緒だが!!
……タダで囚人の気分を味わえるなんてお得だねえ……。
牢獄の中とはいえ、随分久しぶりにふたりの時間を過ごせた。小さな兄が安心して眠る姿を見て、今までずっと研究を、仕事を続けてきて本当によかったと心から思ったよ。
きょうだいのカウンセリングの付き添いがてら、久しぶりにニンゲンくんと話をしたんだ。いつも通り話がしたかったけれど、そんなことはできなかった。
ボクの心は、ボクの気持ちは紛れもない本物だと信じて欲しかったけれど、受け入れてはもらえなかった。
機械のボクはもう、キミに信じてもらえないみたいだ。
でもまあ!!!きょうだいもボクも元気に牢獄暮らしが送れているうえ、旧型管理士の彼女も調子がよさそうだから、当面はよしとしようか!!!
多分ニンゲンくんの事情聴取も終わっている頃だろう。あとは何度か取り調べを繰り返して、いつか来る裁判の時を待つだけだね。
……というかこの「あらすじ」、長すぎるね!!!何がどう荒い筋だと言うんだい???……また作り直さなければ!!!
ふえぇ全然時間が取れないようぅ……。゚(゚´ω`゚)゚。
あとどこに書くのがいいのかもわからないよぅ……(´•̥ω•̥`)
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8/29/2024, 10:19:16 AM