人から褒められても、他人事と思ってしまう。返礼すれば簡単に済む話だが、何故か言葉にならない。本当に、私のことを言っているのかと疑ってしまう。
だが私自身ではなく、私に身についたもの、受け継がれたものを褒めているなら素直に喜べる。よくよく考えてみれば、その服素敵ですねと言われたら、服のことを褒めているのだ。何も私自身だけの話ではない。
そんな当たり前のことに気づくまで、自分のことばかり気にしていた。その服を着こなせて偉いね、と幼稚に扱われているような錯覚に陥っていた。
私にも似合う服を作ってくれた人の顔も姿も気配さえも、全く頭に浮かばなかった。幼さ故の無知な頭にやりがちなひどい思考回路だ。いい加減迷子になるのはやめろ。人が素直に感じた正しさと美しさに導かれて、前に進んで行って来い。二度と振り返るな。真っ直ぐ歩け。
(250813 言葉にならないもの)
8/13/2025, 12:51:01 PM