ずっと階段を登っていると、ここが何階建てだったか分からなくなったので、ふと、外を眺めたくなった。
随分昇ってきたので相当、高い位置にいるとは思う。ゴールはあと少しだと思う。
外を確認できる窓はないかと探したら、一つ扉を発見した。扉には注意書きで、こう書かれている。
――――この扉を開いてはならない。あなたは登り続けなければならない。
私は、その注意書きに酷く苛立ちを覚えた。ここには理由がないじゃないか。私が登り続けなければならない訳を書かないまま、どうして行動を指示してくるのか。
しかし、どうもその注意書きは黄色い板に太字で書かれており、無下にするには警告色が強すぎるものであった。
どうしたものかと悩んだ末、私は扉をノックしてみた。
「誰か入ってますか?」
返事があった。
「入っているのはお前だぞ」
11/13/2023, 8:59:54 AM