ゆんたろす

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-紅茶の香り-

ある日突然家に現れた同居人は個性でこちらの世界に来たのか、はたまた違うのか、全く分からないが
順応力が高く、元の世界に戻るまで私の家にそのまま住むことになった。
同僚や先輩には生活力が無いため心配されていたが
彼のおかげでなんとか部屋が樹海から脱する事ができている。



任務が終わり、深夜。閑静な住宅街にある家にそっと戻るとふわっとした甘い香りに包まれた。

「おかえりっす」

ぶかぶかのカーディガンを着た同居人がへらっと笑って私を迎え入れる。

『ただいま、アモン』

そのまま脱衣所に向かいシャワーを浴びて部屋着に着替えてリビングへ向かう。
髪の毛を乾かしていないのを見てアモンは私を椅子に座るように促す風邪引くっすよ、とタオルで私の頭をふき始めた。

髪の毛を優しく触りながら、アモンはご飯は食べるか、明日の予定を聞いてくる。

自由に過ごしていいと言っても彼はこの行為をやめないでいる。
こちらとしてもご飯や掃除をしてくれるのはありがたいが。

もう夜中だからご飯は明日食べる、と言うと髪の毛をふきおわったアモンはキッチンに向かった。
ピッとIHが起動する音が聞こえ、少しすると甘い香りがまた強く香ってきた。

「ハニーミルクティー、どうぞっす」

なるほど、家に帰った時の甘い匂いはこれだった。

お礼を言い、1口含むと程よい甘さが口いっぱいに広がり、小さい幸せが舞い込む。

『おいし』

「よかったっす」


10/28/2023, 10:12:39 AM