肉に食い込む鉄の感触に何も感じなくなってしまったのです。
暗闇。限りない暗闇にいます。あまりにも暗くて自分が視覚を失ってしまったのかと思うことがあります。ですが、僕を縛るこの鉄の鎖だけは。幾つも重なって僕の身を引き裂こうとするような、引き合わせようとするようなこの鎖だけは網膜に張り付いてしまったかのように鮮明に見えるんです。
痛みを感じられれば良かった。
もう何も感じないんです。鎖ごと僕の体の肉になってしまって、僕の神経が張り巡らされていて、僕の血が流れているように感じるんです。ただ、気持ち悪さだけが残るんです。
僕はずっとこのままなんて耐えられそうにないんです。
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解読者へ
自分だってしたくてこんな所業に至った訳では無いんです。ただ彼が、自由だと、危ないと思ったのです。決して私欲などではないんです。意味が、意義が、訳が、理由が、あるんです。
訳あり独裁者より
1/13/2023, 4:26:22 AM