記憶なんて、燃えて周囲を明るく照らす光になれば良い。僕にはイラナイ。
僕は日記を一枚ずつ破いては、ランタンの火で燃やしていた。炭がたまっていくので、刷毛で払いながら。
このランタンは古道具屋で買った。
アルコールランプをシェードで覆った感じのものだ。
僕の日記が燃えていく。過去なんて、イラナイ。
そう思って日記を焼いていたはずだった。
ふと我に返ると、自分が何をしていたのか、わからない。手にはもう白紙のページしか残されていないノート、反対側の手には刷毛。古めかしいランタンが明るく燃えていて、煤がいっぱい周囲に積まれている。
そう、僕は自分の記憶を焼いてしまったんだ。
今の僕には、自分が誰かすら分からない。
【記憶のランタン】
11/18/2025, 11:18:58 AM