「もしもし、先生どうかしましたか?」
「……ううん、なんとなく。ねえ、何してたの?」
本を読んでいるうちに言いようのない寂しさにかられた。
一人でいることには随分前に慣れたはずなのに不思議とあの子の声が聞きたくなった。
俺から電話をかけたのは初めてだった。
「今はテスト勉強をしてました!ほら今週テストじゃないですか、」
勉強してたのに電話かけちゃって邪魔しちゃったかな。って思う気持ちとこんな時間までしっかり勉強して偉いねって思う気持ちがせめぎ合う。
あぁ、目の前に彼女がいたらたくさん褒めてあげたい。
「そうだねぇ、今回も100点取れるといいね」
「はいっ、がんばりますね、」
「貴方が今回も100点とったら俺職員室で自慢しちゃおうかしら。貴方が連続で100点をとってくれたって、」
「ッ、せんせえっ…わたしがんばりますから!!」
そんなに食いついてくるとは思わなかった。
なかなか難しいと言われる俺のテストで今回も100点をとったら誇らしくて自慢しちゃうね〜なんてふざけた言葉だったけれどあなたが喜んでくれるなら…。
「じゃあ…勉強がんばって、邪魔しちゃってごめんね。」
「いえ、嬉しかったです。じゃあおやすみなさい先生、」
「…うん、おやすみ」
勉強たくさん頑張ってるみたいだし、明日お菓子でも差し入れしてあげようかな。
可愛い教え子が力を発揮できるように。
2024.1.21『特別な夜』
1/21/2024, 11:51:02 AM