ウツボカズラの消化液に浸されながら、ハナカマキリに足や腹をもがれながら、虫は何を思うのだろう。
花らしからぬ生態に捕らわれながら、虫らしからぬ生態に捕らわれながら、彼らは互いの生を羨むことも、己の生を嘆くこともない。
誘われて、惹かれて、捕らわれて、死ぬ。
それだけの事だとただ淡々と受け入れているように見える彼らの生き方は、ある意味潔く見える。
そしてそれは、ただじっと獲物が来るのを待ち続ける捕食者にも同じ事が言える。
過剰に望まず、誘って、騙して、待って、捉えて、糧にする。それだけを繰り返す、ある意味見事な生き方。
植物や昆虫の生態を知れば知るほど、美しいとはどういう事か、を考えさせられる。
END
「フラワー」
4/7/2025, 3:34:10 PM