帰るまでが旅なら、目的はどこへいってしまったのか。
旅の途中が全て目的になってしまったら、なんだか全てが大切なものに思えてきて、スーツケースにつける印だとか道中で買ったもののレシートだとか必要でないものまで捨てることができなくなる。
「旅などやめておけばよかった。」と言いたくなる。
だが、私はいま、汽車乗っている。
駅に着くと、頭を下げてみよう。
「どうか、どうか。この汽車を僕に譲ってはくれませんか。乗っていなければならないんです。もう始めてしまったんです。軽はずみだった。僕は旅の終わらせかたを知らない。怖くてしょうがないんだ。」
そんなことを言う勇気があれば、旅など行っていないなんて野暮なことは言わないでくれ。
次の駅に降りたら、別の路線で1番遠くまでの切符を買おう。
だって、切符は持ち帰らずに済むのだから。
2/1/2025, 5:00:19 AM