『魔法』
魔法にかけられたように、瞬くほどの刹那にあなたに恋に落ちた。
理由なんて説明できなくて、ただ胸の鼓動だけがその気持ちの名前を知らせる。
ショートしそうなほど回転した脳が、そのまま声帯を震わせた。
「あのっ……」
あなたが振り向く。
魔法にかけられたように、気づいた頃には君に恋に落ちていた。
見かけるだけだったはずの存在が、いつしか見かけたい存在に変わって、その姿を探すようになって、とうとうその感情の名前に気づく。
一瞬交わった視線を気のせいだと言い聞かせて、君と僕の境界線を踏み越えようとした。
「あのっ……」
背中からかけられたその声に振り向く。
2/23/2025, 11:02:20 AM