狐コンコン(フィクション小説)

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街へ下りてはいけません

貴方はそれを口酸っぱく言うから、僕は反抗心で街へ下りた。

怖いことなんて何もない。

街の人間は優しくて、温かいご飯をくれることを僕は知っている。

危ないだなんて嘘っぱちだ。

みんな臆病なだけ。




そのはずだったのに、随分体が軽くなった。

人間の温もりが心地いい。

いやだ、いやだ、いやだ、こんな温もり欲しくない、いらない。

心地いい。

人間の温もり?

温もり、わからない、いやだ、心地いい、違う、心地よくなんてない!

これは僕の温もりじゃない!!




「なんかよぉ、街に下りてくるやつら随分減ったよなぁ。寒くて仕方ねえよ。数が減ったのかねぇ?」

「ばかだな、こいつは子供だぞ。あいつら、獣のくせに街は危ねえと学習しちまってんだ。だから、ガキしか下りてこないんだ。」

「えぇ?獣のくせに学習なんてすんのか?嫌だなぁ、また山ン中入るのかよぉ。」

「しょうがねえだろ、俺たち人間様が冬を越すためだ。毛皮で暖を、毛皮を売った金で暖を。暖をとるためだ。」




その年、群れを見つけた狩人達は大量の獣を狩り、毛皮をこしらえ、無事に冬を越す事が出来たそうです。

めでたし、めでたし

1/28/2026, 5:03:51 PM