草波香

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車の排気ガスの香り、ガラスがきらめく高いビルの森、食べ物が溢れかえり、多種多様を持つために衝突を避けるべく他人に関心の無い人々。まだまだ柿の美味しい季節だというのに、外はクリスマスのモノに彩られていく。嫌いだからと残された白いプレートの上の野菜たち。ダイエットだからとネタだけ剥ぎ取られた可哀想なシャリや揚げ物の衣。それを人それぞれと許容する社会。
あぁ帰りたい。
風に運ばれる土の香り。黄・赤・緑と雑木が茂る森。新米だ新米だとそれだけで笑顔になる食卓。庭の柿をサルと競争するようにもぐ。外は晩秋に彩られ、食べ物を大切にしなさいと叱る親。あぁ帰りたい私の故郷。

題「理想郷」

10/31/2022, 10:59:05 AM