NoName

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触れたら破れそうな
柔らかい膜に覆われて

まだ何も知らない一粒が
同じ膜に覆われた粒たちの中へ流れていく

流れは早く
ただ流されるままに

通りすぎる剥き出しの粒にドキリとしながら
知らない粒に当たると
ちくりと痛みが走り
膜が一枚増えていく

先へ先へ

進むほどに膜は何重にも増えていく

粒は同じ場所へ流れていく
早くなったり
遅くなったり
ゆらゆら揺れながら

そうしてたどり着くのは穴
黒くて眠たい穴

一枚、また一枚
記憶の膜を潜り
裸になりながら

瞬きもせずに
静かに落ちていく

もう包まれていない

粒たちは一つになり
暗い底でゆっくりと溶けていく

4/14/2025, 9:30:09 AM