太陽のような
上司が長い結婚生活には3つの坂があると
話してくれた、あの結婚式から2ヶ月後。
『まさか』が先にやってきた。
事故だった。
愛犬も一緒に逝ってしまった。
翌朝、始発の新幹線に乗り込む。
桜が満開の会場まで冗談ばかりを口にし
笑いながら歩いていた兄弟は
真っ白な布団を前にして泣き崩れた。
義兄が歯を食いしばり、両足をガクガクと震わせ
嗚咽ながらに読んだ弔辞は生涯忘れないだろう。
葬儀から1週間、絶え間なく訪れる弔問客の多さに驚く。
口を揃えて皆「お日様のような人だった」と言う。
私は5回しか顔を合わせた事がない。
夫からは気が強く、感情の起伏が激しいと聞いていたが
その人の人生は死んだ後によくわかるのだと知った。
あれから10年。
月命日に欠かさず墓参りに行く寡黙な義父の姿を見て
羨ましく思う。
2/23/2023, 5:51:23 AM