光と闇の狭間で
私は光と闇の狭間で、
ただ、揺蕩っていた。
光の射す場所を目指す気概も無く、
闇の深淵に沈みゆく勇気も無く、
その狭間に、
ただ、存在していた。
光と闇の狭間で、
私は見た。
闇の底に囚われた、
哀しみに染まった、蒼き瞳を。
この美しき瞳に、
光の温もりを教えたい。
私は、彼の手を取った。
光と闇の狭間で、
私は必死に、藻掻いた。
彼を救いたい。
ただ、その想いで。
彼を光の元へ。
その生命を引き上げる。
代償として、私の身体は、
深い闇へと引き摺り込まれてゆく。
それでも、構わない。
闇が私を喰らおうとも、
彼の蒼き瞳が、
光を知る事が、出来るのならば。
闇に沈む、その刹那。
私は――光を見た。
それは、永遠にも似た瞬間。
そして、私は、
深淵へと消えていく。
12/2/2024, 5:57:45 PM