喜村

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 私の名前はサクラという。
 もう何年もこの地域を見守っていた。
この間まで元気に走り回っていた子ども達は、いつの間にか大人になって、この地域を離れていった。

 夏休みを目前とした中高生が、校門前を笑顔で通りすぎて行く。
 輝かしいくらいの笑顔で、他愛のない会話をしている。
 あんな子達は、いつも青い風をまとっていた。
 またの名を、青春、と言う。

 君たちも、いつかこの地域を離れて行くのだろう。
 その時まで、私はこの青春している子達を温かく見守っていこうと思う。
 青い風は、また私の近くを通りすぎて行った。


【青い風】

7/4/2025, 10:43:47 AM