300字小説
最初で最後の朝日
『もう疲れたんだよ』
何度目かのダンジョン探索中。俺の行く手を遮ってきたスケルトンは剣を下げた。
『宝を守ると言っても、持ち主であるマスターはとうに逝っちまってるんだ。なあ、ここの宝を全部やるから、俺を解放してくれないか』
奴は日の光を浴びれば、消滅するという。報酬が貰えれば解決するのが冒険者だ。俺は奴を連れて地上に向かった。
ダンジョンを出、小高い山を登る。
『何処まで行くんだ』
「どうせ消えるなら、こいつが良いだろう」
東の空を指す。
『……おお』
徐々に明るくなる空が日の出を迎える。眼窩の青白い光が揺れる。
『これが朝日……なんと美しい。……ありがとう』
奴はカタリと満足げに笑んだ後、サラサラと消えていった。
お題「日の出」
今年は今日から参加していきます。
今年もよろしくお願いいたします。
1/3/2024, 11:36:16 AM