ネジが外れたウサギ

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根暗な私はクラスの中の影のような存在だった。

写真を撮ると心霊写真の主役みたいな私。

ずっとその幽霊の役割を果たさなくてはいけない、

そう思っていた。

彼女に出会うまでは。



中学二年の夏。

ある日その子は転校生としてやってきた。

「初めまして、◯◯と申します。

ふつつか者ですが、よろしくお願いします」

(なんて丁寧な子なんだろう)

私はそう思った。

その丁寧さが誠実さの表れだった。

彼女の着飾らない素直で積極的な性格と可愛らしさが

相まって彼女はすぐにクラスのみんなと打ち解けた。


私だけやっぱり彼女とも話せなかった。

でも、彼女を見ていると

「何か行動に移さなきゃ」と思わせる魅力を感じる。

その『何か』がわからず私はもがいていた。

(あの子と仲良くなりたい。でも、どうすれば)

そう思っていると私はふと思い立った。


彼女がクラスの子とくすぐり合っているのを見て

私はふと椅子から立ち上がり

彼女に精一杯の大きな声で

「かめはめ波」と言いながらポーズを決めた。

それを見た彼女や他のクラスメイトは、あぜんとした。

そして、沈黙の後に爆笑の渦が沸いた。


かめはめ波をやったのをきっかけで

私は少しずつ彼女と気兼ねなく話せるようになった。

その様子を見たクラスメイトは

「◯◯さん変わったね」

と言われて、徐々にみんなと親しくなれた。


あのたった一つの行動で

彼女とはクラスの中で一番仲の良い友達になれた。

10/26/2024, 4:07:19 AM