私の住むこの世界には
大地なぞありはしない
人一人分の
ちょうど棺桶ほどのスペースだけ
そこに仰向けに寝転ぶとみえるのは
棺桶の形をした四角い蒼空
遠くから聞こえてくるのは
生ある世界でいきる雲雀の唄
雲が流れる?
いいえ、流れているのはこのわたし
雲はじっとそこにいて
流れていくわたしをみているだけ
唄もかわらずそこにいて
私の呼吸をたしかめる
まだいきているのか と
私が呼吸をあきらめたなら
雲雀はやがて憐れむように
私への鎮魂曲をうたいだすだろう
そのうたを聴きたいような
聴きたくないような
棺桶の中から両腕をあげ
青空に向かって 咆哮をあげる
身体中を血液が巡りだす
流れてはいくが
流されてはならない
それがこの世界で いきるということ
お題「大地に寝転び雲が流れる」
5/5/2023, 3:31:39 AM