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診察を待つ間、病院に併設されているカフェでコーヒーを飲んでいる。
カフェの一人用カウンターは大きな窓から病院の庭が見え、庭ではお散歩中の園児たちが楽しそうに遊んでいる。
 どれだけ晴れ渡っていても病院という場所の担うさびしい空気に彼らはやはり異様で、彼らのいるそこだけが生命に愛されているような錯覚を覚える。

私も、生命に愛されているだろうか。
生きていることを、誰かやなにかが祝福してくれているだろうか。

一口含んだコーヒーの苦味が、一瞬憂鬱を忘れさせてくれる。
ぼやぼやとそんな事を考えていたら、いつの間にか園児たちはいなくなってしまっていた。

彼らが帰った病院の庭は、思い出したかのようにさびしさをそっと取り戻していた。

私はコーヒーを飲み干し、静かに待合室へ向かった。



──「ないものねだり」

3/27/2024, 2:30:01 AM