→依存
ここに一つと箱がある。
私は、この箱の中に誰にも知られたくない私の秘密を隠した。
誰にも見えないよう、誰にも触れられないよう、マトリョーシカのように何度も箱を重ね、表面には幾つもの鍵をかけた。暗証番号を用いるタイプや南京錠、シリンダー錠に至るまで。さらにそれらの鍵は、誰の手にも渡らないように溶かした。
この箱は、もはや私にも開けることはできない。これで安心だ。
私の秘密は守られた。
この箱は、絶対に手放してはならない。何処かに置いておくなど、考えただけでも恐ろしい。常に携帯必死。
箱が私のそばにある限り、私は安心していられる。
箱が私のそばにあるので、私は安心していられる。
箱が私のそばにあれば、私は安心だ。
だから、箱から離れることはできない。
だから、私は箱から離れられない。
だから、私は――……。
テーマ; 秘密の箱
10/24/2025, 2:18:02 PM