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四月に初めに咲いた桜を眺めて、それを確かに綺麗だと思った。雨降りの日の後、葉桜をまた眺めては時は無情だと思った。それが僕の心に似ていたから、葉桜を見る度に僕の中のどこかが小さく痛んだ。僕も結局はその程度の人間なんだと桜は毎年決まって教えてくれた。

でも、それが僕なのだと認めなくてはならなくて、それを認めたくなくて、愛を知っては時を言い訳にして忘れていく僕がどうしても許せなくて、それでも時は僕に忘却を与えて、僕はどうしてこうも醜い生き物なのだろうかと、春はそんな気分にさせてくれる。

それはきっとこの先咲く紫陽花や百日紅や夾竹桃や彼岸花やスノウドロップも教えてくれる。

人生は色付いていた。いつだって花の色で、それを忘れないように、忘れないように、明日を迎えたくない僕を、決して戻ることはない時計の針を押している僕のことばかり花がこちらを見つめているかのように綺麗に咲いている。

僕は花が好きだと思う。時の具現のようだから。

5/1/2024, 2:43:44 PM