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過ぎ去った日々

少しだけ春を感じるようになってきた穏やかな夕方にもうすぐ桜が咲くなあ、なんて考えながら家路を辿る。昨年の花見は彼が体調を崩してしまって行けなかった。すごくすごく楽しみにしていたみたいで悲しんでいてしまいには「お前と綺麗な桜見たらきっと治るから今すぐ花見に行こう」と意味のわからないことを言い始めてしまった。だからきっと今年は今まで以上に騒ぎ出すんだろうな。
春には花見に行って、夏には祭りに行ったりキャンプをしたりして、秋には紅葉を見に行ったり二人で焼き芋のおじさんを追いかけたりもした。冬にはコタツに入りながらアイスを食べて、年越しそばを食べて、二人で年を越して初詣に行って。過ぎ去った日々を思い返せばいつも俺の隣には彼がいて笑っていてくれた。これからもずっと彼といられますようにと初詣で願ったことは叶うのだろうか。

「ただいまー」

「おー、おかえり」

先に帰っていた彼が出迎えてくれる。俺は彼が次に言う言葉をもう知っている。何年一緒にいると思っているんだ。きっと次の言葉は

「「なあ、今年は花見絶対行こうな!」」

「言うと思ったよ、君が体調崩さなきゃね!」

俺が最期に見る世界も君と一緒がいいな。
君も、そう思ってくれてるかな。

3/9/2023, 2:44:31 PM